悪性黒色腫について
悪性黒色腫は皮膚がんの一種で、皮膚の色と関係するメラニンをつくるメラノサイト(色素細胞)や、ほくろの細胞(母斑細胞)ががん化してできます。男性では60歳代、女性では70歳代で最も多く発生しますが、30歳~50歳代の若中年層で発生することも少なくありません。
発生部位として最も多いのは足の裏ですが、胴体や顔、爪などさまざまな部位に発生することもあります。
悪性黒色腫が発生する原因については、まだよくわかっていませんが、白色人種に多く発症することから、紫外線に関係しているといわれています。
また足の裏や爪など、いつも刺激を受けている場所にできやすいことから、外からの刺激も関係していると考えられます
悪性黒色腫の分類
表在拡大型黒色腫
多くの場合、ほくろの細胞から発生することが多いと考えられ、全身のどこにでもできます。白人に多い病型ですが、近年、日本人にも増加しています。わずかに盛り上がったシミが見られ、境界も不整で、色調は濃淡の混ざったまだら状です。40歳~50歳に多く、腫瘍(がん)の成長は比較的緩やかです。
悪性黒子(こくし)型黒色腫
高齢者に多く、顔面や首、手背などにでき、境界が不整で色調もまだらな黒褐色の平らな色素班ができます。ゆっくし成長し、治癒する確率は高いといわれています。
末端黒子型黒色腫
日本人にもっとも多い病型で、主に足の裏や手のひら、手足の爪に発生します。はじめのうちは褐色・黒褐色のシミができ、色調が一部黒なったりまだらになったりします。進行すると隆起や潰瘍ができることもあります。
爪にくろい縦のスジができ、爪全体に広がり割れることがあります。60歳代以降に多く見られ、かなり進行してから気付かれることが少なくありません。最近はダーモスコピーという診断法で早期病変の状態で発見することが可能になりました。
結節型黒色腫
初めから急速に成長することが多く、全身のどこにでも発生します。結節(硬いしこり)状の小腫瘤から発生し、色調は全体的に濃黒色や濃淡が混ざるようになります。40歳~50歳代に多く見られます。腫瘍(がん)の成長が早い黒色腫です。
悪性黒色腫の病期
悪性黒色腫では、Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期の4つの病期(ステージ)に分類され、がんの厚さ、リンパ節への転移や別の臓器への転移や別の臓器への転移があるかどうかによって病期がほぼ決まります。
診断された病期によって治療方法が決まっています。
普通の癌が1.5cmまでが早期癌の場合が多いに対して悪性黒色腫は2mmを超えるとステージ2期に分類されています。リンパ節転移が1個あればステージ3期ということから、悪性度が他の癌より高い癌です。