化学療法
化学療法は化学物質を使用した治療の総称のため、抗生物質の治療も化学療法と20年前は呼んでいましたが、最近では化学療法≒抗がん剤治療になっています。副作用の強いリウマチなど自己免疫疾患の治療も化学療法という言葉を使います。抗がん剤治療は、化学物質の由来別に分類されています。
獲得免疫と2度なし現象
自然免疫で逃した細菌をTリンパ球がみつけ、Bリンパ球が抗体をつくり、攻撃します。同じ細菌に対してはすぐにBリンパ球が抗体を出すため、2度同じ細菌に感染することがありません。これを2度なし現象と言います。
活性化リンパ球
患者さまの体内から免疫細胞の一つであるリンパ球を体外に取り出して、大量に培養・活性化した後、体内に戻す治療法です。頭文字を取ってLAK(リンフォカイン・アクティベイティド・キラーセル)と呼ばれています。
一般的な活性化リンパ球は、末梢血中の休眠状態のリンパ球を活性化した後、約1,000倍に増加させ、がん細胞を殺せる細胞にして、体内に点滴の形で戻します。全身の免疫力を回復させる効果を狙った治療です。DVワクチン、抗がん剤治療、放射線治療と温熱治療と相乗効果が期待できます。
がん抗原(がんペプチド)
免疫細胞ががん細胞を攻撃するための目印となる小さなたんぱく質をがん抗原(cancer-antigen)と呼んでいます。がん抗原の中のアミノ酸配列の短いものはがんペプチドと呼んでいます。最近ではがん抗原という表現よりもがんペプチドと呼ぶ方が多くなっています。
がん細胞の表面には、MHC:histocompatibility complex(主要組織適合遺伝子複合体)という受容体がたくさんあります。その受容体のがん抗原が表示され、免疫細胞にがん細胞であることを提示しています。がんペプチドワクチンはこのがん抗原を化学的に合成し、患者さまに注射することで体内の免疫細胞が、がんを攻撃すると期待されています。
緩和ケア
WHO(世界保健機関)によって緩和ケアは下記のように定義されています。
「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、
- 痛みやその他の身体的問題
- 心理社会的問題
- スピリチュアルな問題
を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチである。」
がんワクチン
当クリニックで提供しているがんワクチンは、予防を目的としたワクチンではなく、すでにがんを患った患者さまに対してがん細胞を攻撃する免疫反応を誘導し治療することを目的としたものが中心です。(予防や再発予防のためのがんワクチンもあります)
私たちの体の中には、免疫を担う細胞がいます。体内に侵入してきた細菌、ウイルスが感染した細胞やがん化した細胞などは、異物として免疫細胞に発見され、そして排除されます。こうした免疫の仕組みを利用したがん治療が、がんワクチンです。がん患者さんが元来持っている免疫の力でがん治療を行うため、副作用が少ないのが特長です。
グラニュライシン(GRN)
グラニュライシン(リンパ球活性量)は活性化リンパ球が分泌するケモカインの一種で、パーフォリン・ファミリーに属します。グラニュライシンは、活性化リンパ球や癌特異的リンパ球・NK細胞・NKT細胞からも分泌され、がん細胞や細菌の膜に穴を空け、細胞を破壊します。
このグラニュライシンは、健康な中高年で、4.0ng/ml以上持っているため、健康維持には欠かせないものです。 グラニュライシンは、がん患者さんでは、平均値2.7ng/ml、胃がんの再発では、2.2ng/mlとがんの進行で低下していきます。この数値が3.0ng/mlを切るとだるさや疲労感を訴えることが多く、4.0ng/ml以上で元気になりましたといわれることが多く、免疫治療の評価として有用です。
血液の成分
血液は、遠心分離することで、その比重の違いにより、血漿、血小板、白血球、赤血球に分かれます。
- 血漿は、栄養分でタンパクを多く含み、免疫グロブリン(抗体など)を免疫成分も含んでいます。
- 血小板は、血管の穴を凝集することで塞ぎます。
- 白血球は、免疫細胞で好中球・リンパ球・単球からなり、アレルギーのときには好酸球が増えます。
- 赤血球は、一番多い成分で、赤血球のヘモグロビンが肺で酸素を取り込み、体中に酸素を配り、二酸化炭素を回収し、肺で酸素と二酸化炭素を交換します。
血漿(けっしょう)
血漿(けっしょう)とは、静脈の血液を採取し、高速遠心すると上層に溜まる液状の成分のことです。内容は、90%が水分、10%に豊富なタンパクを含んでいます。タンパクは、アルブミンと免疫グロブリンなどを含みます。
血小板(けっしょうばん)
血管に空いた穴を凝集することで塞ぎます。血小板は、骨の中にいる骨髄の一種、巨核球が作り出します。抗癌剤で骨髄が副作用が受けると血小板が少なくなります。血液検査での正常値は、12万個/μL(マイクロリットル)から40万個/μLまでです。3万以下になると脳出血など危険が高くなります。
抗体療法
抗体療法は、癌細胞の表面の受容体をカバーして成長ホルモンなど癌の増殖に関連するものをブロックする治療で、効果があり、副作用が少ない治療として注目されています。
成長因子をターゲットとした抗体療法は、癌細胞の増殖を止める目的で開発されました。癌細胞の表面には、細胞の増殖スイッチのEGFR(epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)が発現しています。
癌細胞が分泌する成長因子が癌細胞のこの受容体につくことにより、増殖のスイッチが入り、癌細胞が分裂を始めます。この増殖スイッチに抗体で蓋をしてつかないようにします。増殖のスイッチを押させないのが抗体薬です。こういった抗体薬を使った治療のことを抗体療法です。
好中球
好中球は、マクロファージの細菌を食べる貪食能に特化した細胞です。血液1μl中に2000個から7500個います。血液の中の好中球は、寿命が1日以内と短い細胞です。
好中球が少なくなると(具体的には血液1μl中に1500個以下になると)血液で細菌が増えはじめ、敗血症(血液が細菌だらけになる病気)になり、死亡する可能性もあります。
好中球数
好中球数が1500個/μl未満になると細菌の免疫が低下し、血液の中で細菌が増える敗血症という病気になり、死亡することもあります。抗癌剤治療後に起こりやすいので注意が必要です。抗癌剤の効果は、実は癌細胞を死滅するのでなく、好中球と骨髄細胞を減らすことで癌の増殖を抑えていると言われています。
CDDP(シスプラチン)などプラチナ剤以外は癌移行する抗癌剤の濃度では癌細胞は死滅しないと言われています。これらの事実から抗癌剤の投与方法を好中球数で管理するなど抗癌剤治療も改善すべきと当院では考えています。
個人情報保護法の改正(2017年5月30日施行)
改正個人情報保護法では要配慮個人情報が新設され、より慎重な取り扱いが求められるようになりました。
要配慮- 個人情報の取得は原則として、事前に本人の同意を得る必要があります。
- 個人情報を第三者に提供する場合は、同意の意思確認を確実にとる必要があります。