あ行

アフェレーシス

成分採血装置を使用して血液中の特定成分だけを採血する方法です。当クリニックで行っている樹状細胞がんワクチンでは、樹状細胞の元となる単球という細胞を血液から分離するために、このアフェレーシス(成分採血)を行います。

アフェレーシスは、透析のように一度、患者さんから血液を取り出し、必要な処理をしてから体内に戻す治療法の総称です。当院では、樹状細胞ワクチンに必要な白血球中の単球を分離して採取しています。

原理は、透析のようにポンプで静脈血を1分間に40ml~50mlを取り出し、遠心分離して、1分間に約1mlの分離した単球を遠心回路内に貯え、10分間に1回、8から12mlの分離した単球をバック内に移動させます。

この作業を8回から10回繰り返すことで静脈血4000mlから5000mlから大量の単球を採血できます。

樹状細胞ワクチンに必要な白血球中の単球を分離して採取します。

アブスコパル効果

アブスコパル効果は、癌に対して放射線治療をしたところ、放射線を当てていない癌まで縮小する効果です。2012年New England JournalにM.Postowによってその免疫システムが報告されました。

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

ESDは、1990年より国立がん研究センター中央病院等でITナイフが研究され、hookナイフやflexナイフが開発された2000年頃から一般化してきました。

ESDは、ステージ1期までで悪性度が高くなく、切除がしやすい、そして癌の中心に凹みがない場合に適応があります。また、リンパ節転移の可能性が少ない場合が条件です。それ以外はHALS(用手補助下腹腔鏡手術)になります。

EMR(内視鏡下粘膜切除術)

1968年に日本で高周波ポリぺクトミーが報告され、その後、1980年代に粘膜を生食で浮かせて切除するEMRが一般化しました。EMRは、ステージ0期で癌の大きさが2cm未満で悪性度が低い高分化型腺癌、切除しやすい場所にあることが適応の基準になります。

切除しにくい場合はHALS用手補助下腹腔鏡手術 (Hand assistant laparoscopic surgery)の場合もあります。

HLA

血液型というとA型・B型・O型・AB型です。これは赤血球の「血液型」です。血液には、免疫細胞の白血球があり、この白血球にも血液型があります。これをHLA(Human Leucocyte Antigen:ヒト白血球抗原)と呼んでいます。

赤血球の型を間違えて輸血すると拒絶反応を起こすように、白血球も同じように型を間違えると拒絶反応を起こします。白血球には、好中球、リンパ球、単球などがあり、好中球はHLAを持ちません。癌の免疫は、リンパ球と樹状細胞に成長する単球で構成されます。

当院のがん免疫療法、樹状細胞がんワクチン治療などで使用するがんペプチドワクチンは、患者さんのHLAとがんペプチドワクチンのHLAを合わせることで適合性を検査しています。この検査をしないと樹状細胞とがんペプチドワクチンの適合率が10分の1以下に下がります。

他院でHLAを検査しないがんペプチドカクテルという方法も取られていますが、効果は著しく下がることが予想されますのでご注意ください。

NLR(好中球・リンパ球比)

NLR(Neutrophil / Lymphocyte ratio)は好中球とリンパ球の比のことです。好中球は、癌の血管新生を増進するため予後に悪い因子です。

しかし、好中球が多くてもリンパ球が働いていれば、予後は悪くないため、単独の予後因子ではあります。

NLRが高い場合は好中球が多く、リンパ球が少ないため癌の増殖が速く、癌免疫が低いので予後は不良です。低い場合は癌の増殖が遅く、リンパ球が多く、癌免疫が高いために予後が良好です。

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)

癌の免疫も自然免疫と獲得免疫があります。

NK細胞(Natuaral killer cells)とNKT細胞(Natural killer T cells)は癌細胞を攻撃します。ただし、癌細胞の中でHLAがある癌細胞は正常な細胞と判断してしまい攻撃しません。そのHLA陽性の癌細胞はリンパ球が攻撃します。

NK細胞やNKT細胞は、癌細胞を異物として判断して攻撃します。これを自然免疫と呼びます。

リンパ球は、HLA上がんペプチドをみつけ癌細胞として判断して攻撃します。これを獲得免疫と呼んでいます。

自然免疫は、生まれもった正常な細胞は攻撃せず老化や感染した細胞を攻撃する免疫です。獲得免疫は、生まれてから感染した細菌・ウイルス・がんのペプチドを記憶し、そのペプチドで感染やがんを判断し攻撃します。樹状細胞がんワクチンは獲得免疫を利用したがん治療です。

NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)

NKT細胞は、NK細胞からTリンパ球に進化の途中で出来た細胞だと考えられています。NKTのTはT細胞受容体の意味ですが、T細胞の受容体としての機能は持っていません。癌の免疫も自然免疫と獲得免疫があります。

癌の自然免疫では、NK細胞とNKT細胞がHLAの発現のない癌細胞を異物の細胞として攻撃します。

HLA陽性の癌細胞は、獲得免疫のCD4Tリンパ球とCD8Tリンパ球が攻撃します。

NKT細胞は、機能のないT細胞受容体を持っていますが働きはNK細胞と同様の働きをします。リンパ球の割合は一般的には少なく、時々多い人もいますがそのことが癌になりやすい、なりにくいなどの影響は報告されていません。

温熱療法

温熱療法(Thermothearpy)は、がん細胞が正常細胞と比べて熱に弱いという性質を利用して、がんの局所に電磁波等で熱を加え、がん細胞を傷害する治療法です。効果は、微温効果と高熱効果に分かれます。

微温効果は、お風呂程度の43℃程度です。体温が43℃に上がると免疫が上昇します。樹状細胞の動きを促進し、がん細胞の認識力を高めます。高熱効果は、皮膚や皮下の腫瘍では、50℃に近い温度することができれば、腫瘍のアポトーシスが誘導でき、リンパ球の活性も高まります。

欠点は、温熱の効果は、治療中のみであり、体力が低下するため抗がん剤治療中の患者さんではむしろ免疫が低下する可能性もあります。

高熱効果は、皮膚や皮下の腫瘍では、50℃に近い温度にすることができれば、腫瘍のアポトーシスが誘導できます。歴史は古く、1960年代から本格的な研究がはじめられました。温熱療法には全身温熱療法という全身を加温する方法と局所温熱療法というがんの周辺を加温する方法があります。一般的には、局所温熱療法がよく使用される方法で、マイクロ波や電磁波を用いた装置でがんの周辺を温めます。

温熱療法ががんの治療法として第一に選ばれる状況はまだ限られていますが、標準治療には至っていないものの、科学的根拠があり多くの改善例が認められてる免疫細胞療法などと併用することにより、より効果が期待できると考えられています。