活性化リンパ球の仕組みとは
はじめに
癌細胞を直接攻撃する免疫細胞は、活性化リンパ球です。
この活性化リンパ球は、進行癌から末期癌への癌との闘いが長期化することにより不足していきます。
赤血球なら家族や他人から輸血することはできますが、活性化リンパ球は、GVHDという拒絶反応を起こすため、自分のリンパ球しか使えません。そこで、自分のリンパ球を取り出し、試験管の中で1000倍に増やし活性化させ、そのリンパ球を体内に戻す方法が活性化リンパ球治療(LAK)です。
体に投与することで、体内の免疫力を強化し、「がん」の進行を阻止する効果が期待できます。
活性化リンパ球の特徴とは
- 副作用がほとんどない体に優しい治療
- QOL(生活の質)の改善
- 他の治療(手術・放射線・抗癌剤治療等)との相乗効果
- 再発・転移予防効果
リンパ球が不足する時は?
- 抗がん剤治療・放射線治療によりリンパ球数は低下する
- 身体的ストレス(手術・過労)や精神的ストレス(痛み・がん)などでリンパ球活性は低下する
- がん患者さんのリンパ球活性は、健康な人の平均より30%少ない
- 肝転移・肺転移・腹膜播種、局所再発の患者ではリンパ球活性の平均が半分しかない
リンパ球が不足しているとどうなる?
- がんに対する攻撃と防御の療法が低いため、がんの進行が急速になる。
- 細菌やウィルスに対する抵抗力も低くなり、肺炎や腸炎になりやすくなる。
リンパ球の不足は血液検査で分かる?
リンパ球数(量)
血液検査の白血球数(WBC)で免疫細胞の総数がわかります。さらに、血液像で、好中球数やリンパ球数など%や数でわかります。リンパ数は、通常、1000~1500個/μL必要です。癌がある場合、1500個/μL以上必要です。
1000個/μL以下になると疲労感やだるさがでて、肺炎や腸炎などになりやすくなります。500個/μL以下になると癌に対する免疫不全状態で、癌の進行が急速になり、生命を維持する日和見感染などの危険も高くなります。活性化リンパ球治療では、1500個/μL以上を維持することを目標のひとつとします。
グラニュライシン(質)…リンパ球活性
グラニュライシンは、活性化リンパ球が分泌するケモカインの一種で、癌細胞や細菌の膜に穴を空け、細胞を壊します。このグラニュライシンは、健康な中高年で、4.0ng/ml以上持っているため、健康維持には欠かせないものです。
このグラニュライシンは、がん患者さんでは、平均値2.7ng/ml、胃癌の再発では、2.2ng/mlと癌の進行で低下していきます。この数値が3.0ng/mlを切るとだるさや疲労感を訴えることが多いです。4.0ng/ml以上で元気にといわれることが多く、免疫治療の評価として有用です。