大腸がんのリスクについて
大腸癌のリスクは、
- 年齢(加齢)
- 家族歴(遺伝)
- 肥満
- 脂質異常症
- アルコール
- 喫煙
- 胆のう摘出
- 赤身肉・加工肉の食べ過ぎ
などが有名です。
年齢(加齢)
50歳を超えるとがんの発生率は増えますので、便潜血検査を毎年(一般的には毎年または隔年)と大腸の内視鏡検査(3年に1回)を推奨しています。
40歳以上は検診の受診を推奨しています。
家族歴(遺伝)
大腸癌には遺伝するものがあり、遺伝性大腸癌と呼んでいます。
その中で多い家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis:FAP)は、40歳代で約50%、60歳代ではほぼ100%大腸癌を発症します。
常染色体優性遺伝で中年までに発生するため、近親者で60歳までに大腸がんを発症したひとが3人以上いる場合、大腸内視鏡検査を施行し、10個以上のポリープがあれば本疾患を疑うべきです。
FAPの原因はがん抑制遺伝子APCの変異です。日本人1万7千4百人に1人と稀な疾患です。(厚生労働省のFAPのガイドラインより)
リンチ症候群もありますが、さらに頻度が少ないので過度な心配は必要ないでしょう。
肥満
肥満は、WCRF(世界がん研究基金)での食べ物・栄養・癌予防においての研究の大きなテーマです。
2011年の改訂版では、男性でBMI(Body Mass Index)が30以上で結腸癌のリスクが1.4倍、直腸がんは1.16倍という結果でした。
痩せている人に比べて太っている男性は、2.0倍結腸癌に、1.4倍直腸癌になりやすく、女性は、1.3倍結腸癌に、1.3倍直腸癌になりやすいことが分かっています。
また、女性では閉経後の肥満がリスクになります。
脂質異常症
脂質異常症は、総コレステロール値が高い・悪玉コレステロールが高い・中性脂肪が高いなど3つの病態があり、コレステロールと悪玉が高いだけではリスクにはなりません。
その結果、肥満になるとリスクになります。
運動や代謝が普通または少ない場合、食事を多くとると血糖が上がり、インスリンが大量に分泌されます。
この高インスリン結腸が大腸ポリープのリスクとなります。血液中の中性脂肪が高い場合、このような状態になり、3個以上のポリープができる確率は中性脂肪が125mg/dL以上の場合、68mg/dL未満の人に比べると1.9倍、さらに喫煙していると3.4倍のリスクになります。(大谷らCancer Causes Control. 2006 より)
アルコール
アルコールは、WCRF(世界がん研究基金)2011年の改訂版では、男性では確実・女性ではほぼ確実にリスクになると発表されています。
喫煙
喫煙は、様々な癌でリスクとなります。
大腸癌でも1.18倍と少しリスクがありますが他の癌に比べると高くはありません。
胆のう摘出
胆のう摘出術後のリスクは、そもそも胆のうを摘出した人が少ないのでデータが少ないのが現状です。
韓国のデータですが、胆のうポリープ5mm以上を胆のう摘出した人でリスクが1.18倍になる程度です。
赤身肉・加工肉
赤身肉・加工肉は日本人の摂取量は63g/日(赤身は50g、加工は13g)で、世界的には摂取量は少ないです。
女性では毎日80g以上の赤身と加工肉を食べると少しリスクが上がります。男性では大量の肉を摂取した群でのみ差がありました。 (多目的コホート研究 2011年 赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについてより)
基本的に日本人が普通に食べる肉の量では大腸癌のリスクにはなりません。
四つ足肉がいけないと言う先生もいますが日本人では根拠がないと言えます。