陽子線治療
がんの部分だけをピンポイントに照射してがん細胞を攻撃する放射線治療が理想の放射線治療です。
粒子線治療に含まれる陽子線(Proton)を使った放射線治療の一種が陽子線治療(Proton therapy)です。
これまでの放射線治療は、がんに向けて照射されたX線は、体の表面近くで放射線量が最も高く、体の深くにあるがんに近づくにつれて、その量は減少しました。
そのために、がん細胞への効果は薄くなり、しかも周辺の正常組織を傷めるために副作用を起こすことになります。
陽子線の場合、X線と比べて、ターゲットへより正確にエネルギーを運ぶことができるという優れた特徴があります。
陽子線は、エックス線よりも集中してあてることができますが、さらにピンポイントでがんにあてる技術が進めば、強い破壊力でまさに標的を狙い打ちできるようになります。
粒子線治療の大きな問題として、装置が大掛かりで、建設に莫大なコストがかかり、維持費もかかり、さらに故障も多いなどが挙げられます。
重粒子線の治療施設建設には約130億円、陽子線の場合は70~80億円がかかります。ただ、陽子線治療装置に関しては、リニアックよりも一回り大きい程度のものが米国で開発されつつあり、小型化など改良が進めば一般的な治療になる可能性があります。
