がん免疫療法について

2016年がん免疫療法の時代へ

今注目されているがんの免疫逃避機構(めんえきとうひきこう)は、癌細胞が免疫から逃げたり隠れたり、免疫を反撃してきたりといった癌が免疫を騙し続けているシステムを逆手にとって、免疫で癌を攻撃するがん免疫療法です。

がんの免疫逃避機構は現在3つの方法がみつかっており、その3つをターゲットとした治療と、それ以外の免疫療法もあります。ここでは、最近始まったばかりの免疫逃避機構を逆手に取った免疫療法を紹介します。

がん免疫逃避機構の3つの方法

がん免疫逃避機構には、隠れる・逃げる・反撃するの三つの能力があります。

まず最初癌細胞が身に着けるのは隠れる能力です。早期段階の癌は弱く、見つかるとすぐに免疫で排除されていきます。早期癌から進行癌になる時期にこの隠れる能力を持ち、成長すると密かに転移することのできる癌になります。

2つ目に身に着ける能力は逃げる能力です。胃腸や肺や肝臓などの免疫細胞が多い臓器では癌細胞はすぐ免疫細胞に見つかるため、中球という免疫細胞の中に逃げ込んでそこで成長します。

3つ目に身に着ける能力は反撃する能力です。癌は大きくなって逃げられなくなると攻撃してきた免疫を反撃してきます。もともとPD-1(ピーディーワン)など免疫を抑制するスイッチは免疫細胞などしか持っていませんが、癌の中で免疫細胞が壊れ、癌細胞が免疫細胞の遺伝子で取り込んで機能を獲得することができます。こうなるともはや手に負えない癌になってしまいます。しかし、今ではこれらのすべてをがん免疫療法で治療することができます。

がん免疫について1

隠れた癌を見つけ出すがん免疫

癌細胞は正常な細胞が癌化しているため、正常な細胞と癌細胞との区別が難しく、単球という免疫細胞だけが癌細胞の特徴を見つけ出すことができます。単球は癌の特徴を取り込み樹状細胞に成長し、普通のリンパ球に癌の特徴を教え、癌特異的リンパ球を誘導し、癌細胞を攻撃します。

がん免疫について2

逃げた癌を見つけ出す活性化リンパ球療法

普通のリンパ球では、癌を見つけ出したり、好中球の中に入ったりすることができません。

血液には元々少しの癌特異的リンパ球が存在します。それを1000倍に増やすことで治療に効果的な数の癌特異的リンパ球まで増やし、点滴で投与して全身の癌を捜させます。

特にWT1ペプチドで誘導したWT1-CTL(ダブルティーワン)療法を2015年に培養を一新し、癌特異的リンパ球の比率を増やした治療法も開発されました。

がん免疫について

反撃してきた癌をブロックする免疫療法

実は、免疫細胞は強力な攻撃力を持っていますが守備力は弱く、癌細胞の弱いパンチでも簡単にノックアウトされてしまいます。癌細胞はもともと攻撃力を持ってませんが、壊れた免疫細胞などの遺伝子を取り込みリンパ球を攻撃しています。

がん免疫について

反撃してきた癌をブロックする免疫調節薬オプジーボ

癌細胞が反撃するPD1(ピーディーワン)に抗体薬を使って、手袋のようにカバーをしてスイッチを押せなくするのがオプジーボです。癌が免疫細胞を攻撃する手段は6個も見つかっているため、オプジーボだけではすべての癌患者さんの治療には効果が期待できないのが現状です。

がん免疫について

癌の種類や転移部位など個人差が多い時は治療計画が大切!

がん免疫療法で多くの癌の治療が可能になりました。非小細胞肺癌・乳癌・胃癌・大腸癌は免疫療法が効きやすい癌です。

しかし、抗癌剤治療の併用の仕方を間違えると効果が出にくい傾向にあります。頭頚部癌・食道癌・子宮頸癌は局所免疫を治療すると効きやすく、肝臓癌・明細胞癌には新しい効果のあるワクチンが登場しました。