胃がんの抗癌剤治療

胃癌の抗癌剤治療はTS-1が主流

胃癌の抗癌剤治療は再発予防のための補助化学療法と全身化学療法の2つに分けます。

胃癌の抗癌剤治療の要約

胃癌の全身化学療法は、ステージ4期とステージ3期で手術にて明らかに癌を取り残した場合に行います。抗癌剤はティーエスワンとシスプラチンを行います。

再発予防治療はティーエスワンを術後1~2か月から1年間投与するのが一般的ですが当院では6か月を推奨しています。

胃癌の抗癌剤治療

胃癌の抗癌剤治療に使用する抗癌剤

TS-1(ティーエスワン)

TS-1の作用は代謝拮抗剤です。癌細胞を破壊するのでなく、癌細胞の代謝を邪魔して癌の成長を遅らせる薬です。

副作用は、

  • 髪の毛が細くなる
  • 口腔内や胃や腸の粘膜が薄くなるため口内炎・胃炎・下痢になりやすくなる
  • 皮膚の代謝が悪くなるため、色素沈着(しみ)が起こる
  • 血液が作られるのが遅くなるため、貧血・免疫低下が起こる

などです。

治療効果は、ステージ1期は術後に再発予防治療なし、ステージ2期とステージ3期がティーエスワンの適応あり、10人中9人は副作用はあったが効果はなかったという結果です。

そして2004年の胃癌ガイドラインでは、胃の早期癌と筋層まででリンパ節転移のない患者さんではTS-1の効果はないと結論がでています。その後、ESMO2010という臨床試験では、昔使っていたUFT(1日約1500円、ティーエスワンは1日約3000円)は、TS-1のデータが当初、UFTより良かったためTS-1は保険が適応になり、臨床試験が中途半端になったが、最終的な効果はUFTの方が優れ、副作用も少なかったという結果がでていました。

それを製薬会社は自社の利益に反するために取り上げずに高くて副作用の強いティーエスワンを推奨しています。これが製薬業界の常識です。

そもそも3人に1人以上利益がなければ治療としていかがなものでしょうか。2人に1人以上に効果があってこそ標準治療というものだと私は考えます。

患者さんは主治医の言いなりですが、もっと賢くなってください。自分のために、再発予防の抗癌剤はあまり効果がないと思っていてください。

胃癌抗癌剤ティーエスワン

シスプラチン

はじめてまともに効く抗癌剤はシスプラチンで、この薬のお陰で抗癌剤治療が広まったという程、ほとんどの癌で使用された抗癌剤です。しかし、副作用が強く吐き気・しびれなどの神経障害、内臓などの腎障害が強いのが特徴です。

シスプラチンはシス化して水溶性にしたプラチナのことで、プラチナは触媒として優れ、活性酸素(スーパーオキサイト)で癌細胞にダメージを与えます。

しかし、単独では効果がなく、ティーエスワンなど代謝拮抗剤と併用しないと活性酸素の生産が少なく効果がありません。

また、毒性が強く薬剤耐性ができやすい抗癌剤のため、4回までは効果があるが5回目以降の治療の効果には個人があります。 しかし、3か月以上休薬すると効果が回復するなど現在試行錯誤しています。

胃癌 シスプラチン

ハーセプチン

胃がん患者さんの15%程度がHER2という増殖因子(成長ホルモン)で癌が増殖しています。ハーセプチンは、このHER2の分子標的薬でこの分子を抗体でブロックします。そうすると成長ホルモンが癌細胞のつけないためがんの成長をブロックします。

しかし、癌細胞に毒性がなく単独での効果は期待できないため、パクリタキセルとの併用など併用治療を必要とします。

ハーセプチンは抗体薬のため、免疫を賦活作用があります。ハーセプチンを投与すると癌細胞にハーセプチンが付きます。そこに癌細胞を破壊するリンパ球が誘導される効果があり、ハーセプチンと活性化リンパ球療法を同時に行うことで相乗効果が得られます。

胃癌 ハーセプチン

イリノテカン

胃癌の肝転移に対して、シスプラチンとティーエスワンの次の治療として効果を期待できると考えていますが、データはまだありません。胆汁排泄という特徴があり、腸閉塞の患者さんには禁忌です。

胃がんは腹膜播種が多く、これらの患者さんには危険ですが使用されている場合があり注意が必要です。

パクリタキセル

パクリタキセル(タキソール)は、全身化学療法としてステージ4期など手術できない患者やシスプラチンが効かない患者さんを対象に奏効率20%という結果です。

ドセタキセル

単独では効果は期待できない。ティーエスワンとの併用も試験されたがティーエスワン単独とのメリットは少なく、使用されない時代があったがDCS(ドセタキセル+シスプラチン+ティーエスワンの3種類併用治療)が最近期待されています。