膵臓がんの抗がん剤治療

膵臓がんでの抗癌剤治療の選び方!

膵臓がんの抗癌剤治療を学ぶ

膵臓がんの病状を3つに分けて抗癌剤治療を考えます。

1つ目は、手術ができた場合に術後に再発予防のため抗癌剤治療をします。術後には半年から1年間、TS-1(ティーエスワン)を内服します。

2つ目は手術ができないが肝転移など遠隔転移がない患者さんの場合、「局所進行癌」(きょくしょしんこうがん)と呼んでいます。

この場合、血管から距離がある膵体部癌、膵尾部癌であればジェムザールと放射線治療(重粒子線、陽子線、iMRT(アイエムアールティー:高精度放射線(ノバリス、トモセラピーなど))、血管が近い膵頭部癌の場合、TS-1を内服するのが通常ですが、フォルフィリノックスやアブラキサン+ジェムザールで縮小させてから手術という試みもなされています。ですが、期待できないのが現状です。

3つ目の肝転移など遠隔転移がある場合、フォルフィリノックスやアブラキサン+ジェムザールが期待されていますが、副作用が強く、効果はTS-1やジェムザールとあまり差がないのが現状です。

膵臓癌に関しては、予後が厳しく効果的な抗癌剤治療は今のところありません。樹状細胞がんワクチンをはじめとしたがん免疫療法の効果を期待して希望を持った治療にトライしてください。

患者さんは、抗癌剤治療を選ぶことはできませんが、自分がどのような抗癌剤を使っているかは知るべきです。抗癌剤の種類や組み合わせ、効果、治療スケジュールなど解説しました。

加藤係数(KI)=延命年-ダメージ年(10が最高の治療、5未満は最低の治療)

抗癌剤治療の選び方

膵臓がんの抗癌剤治療の加藤係数の順位

ステージ4期の患者さん
抗癌剤治療の選び方
【参考 ジェムザール+樹状細胞がんワクチン 5.65点】
1位 ティーエスワン 5.53点
2位 フォルフィリノックス 4.84点
3位 ジェムザール 4.74点
4位 アブラキサンとジェムザール 4.66点
5位 ジェムザールとTS-1 4.38点

【コメント】
副作用の軽い抗癌剤を2種類併用すると、実は副作用が強い。

ジェムザールと樹状細胞がんワクチン併用の点数が一番高く、ティーエスワン+樹状細胞がんワクチンはもっとよい可能性があります。

ステージ2期の術後の患者さん
抗癌剤治療の選び方
【参考 ジェムザール+樹状細胞がんワクチン 5.65点】
1位 ティーエスワン 7.00点
2位 ジェムザール 5.96点

【コメント】
明らかにティーエスワンがよい。
樹状細胞がんワクチンはデータがありませんが併用することでさらによい点数が期待できます。

膵臓がんの代表的な抗癌剤治療

GEM単独(ジェムザール)

ジェムザール

はじめて膵臓がんで抗癌剤治療が標準化した治療です。

膵臓がんの手術できないステージ4期の患者さんにジェムザール単独療法が多く使われています。
手術ができない方へのGEM単独

GEM(ジェムザール)単独治療は、プラスが約5.7か月、マイナスが0.73、結果4.74で5.0未満のため、当院では推奨できる治療とは言えません。

膵臓がんステージ2期の手術後のGEM単独

うまく手術ができたステージ2期の患者さまにとって、TS-1(ティーエスワン)の副作用が強い場合に代替えとして推奨します。

TS1の副作用が強い人へのGEM単独

早く発見されたすい臓がんステージ2期のGEM(ジェムザール)単独治療は、プラスが26か月、マイナスが1.2、結果約6.0で5.0以上です。ステージ2期のすい臓がんでは、当院の推奨の治療のひとつです。

TS-1単独(ティーエスワン)

TS-1(ティーエスワン)

日本発、ジェムザールより副作用が軽いということで推奨されています。

手術できない膵臓がん
手術ができない方へのTS-1単独

TS-1(ティーエスワン)単独治療は、プラスが9.7か月、マイナスが0.28、結果5.53で5.0以上です。手術ができないすい臓がんでの、当院の推奨治療のひとつです。

膵臓がんステージ2期の手術後のTS-1単独
ステージ2期術後のTS-1単独

早く発見されたすい臓がんステージ2期のTS-1(ティーエスワン)単独治療は、プラスが28か月、マイナスが約0.3、結果7.00で7.0以上、ステージ2期の膵臓癌では、当院の推奨する有効な治療のひとつです。

GEM+TS-1(ジェムザールとTS-1の併用)

ジェムザール TS-1

A(GEM単独)もB(TS-1単独)も効果が不十分だった場合に併用します。

結果は、効果が少しプラス、副作用は1+1=2です。最近、撤退する医師が増えています。

手術できない膵臓がん
手術ができない方へのジェムザールとTS-1の併用療法

手術できないすい臓がんでのGEM(ジェムザール)とTS-1(ティーエスワン)の同時治療は、プラスが10か月、マイナスが1.5、結果4.38で5.0未満のため、当院の推奨できない治療です。

FOLFIRINOX

FOLFIRINOX

大腸癌で効くFOLFOX(3剤)が膵臓がんでは効果がなかった。

普通ならそこで諦めるが、大腸癌でもう一つ効くFOLFIRI(3剤)のイリノテカンも使えば、すごい結果がでるはず!

結果は、効果が1+1+1+1=1.5、副作用は1+1+1+1=4。
抗癌剤史上、最強の抗癌剤か?最悪の抗癌剤か?議論中です。

患者さまが負けず嫌いなら納得、医者の負けず嫌いならエゴです。

手術できない膵臓がん

手術ができない方へのFOLFIRINOX療法

手術できないすい臓がんでのFOLFIRINOX(フォルフィリノックス)は最強の抗がん剤治療です。副作用は、論文上はひどくはありませんが、日本人での結果がまだないです。

プラスが11か月、マイナスが1.1、結果4.84で5.0未満なので、当院の推奨できない治療です。

Nab-PAC + GEM ( アブラキサン+ジェムザール)

Nab-PAC+GEM ( アブラキサン+ジェムザール) Nab-PAC+GEM ( アブラキサン+ジェムザール)

アブラキサンは、アルブミンというタンパクをつけることで溶けやすく癌に浸透するのでは?と考えられてつくられましたが、他の癌で効果も変わらない、値段は2倍以上でメリットを感じられず、膵臓がんで浸透はどうか?

結局は、FOLFIRINOXもアブラキサンもGEM単独も膵臓がん患者にとってあまりメリットはないという結果です。

手術できない膵臓がん
手術ができない方へのアブラキサン+GEM

アブラキサン+GEM(ジェムザーム)は、プラス8.5か月、マイナスが1.1、利益が4.66で5.0未満のため、当院では推奨しない治療です。

GEM(ジェムザーム)単独治療は、プラス6.7か月、マイナスが0.7、利益が4.85で5.0未満のため、当院では推奨しない治療です。

GEMまたはTS-1と樹状細胞がんワクチン

樹状細胞がんワクチン+GEM or TS-1 TS-1

副作用の軽い1種類の抗癌剤とがんワクチンの効果が今まで最高の結果が示されています。
手術できない膵臓がんの患者では、最高の数値です。

TS-1と樹状細胞がんワクチンのデータがでれば、もっと高い数値がでると予想できます。

手術できない膵臓がん
TS-1と樹状細胞がんワクチンの併用

GEM(ジェムザーム)単独治療+樹状細胞がんワクチンはプラス16.5か月、マイナスが0.73、利益が5.65で5.0以上であり、当院では推奨する治療です。