肺がんの治療・手術について

はじめに

肺腺がんは肺野部にできることが多いため手術がしやすく、根治を望むことが出来ます。手術できるかできないかは、リンパ節転移と肺の外側への浸潤が判断材料になります。

ステージ1期またはステージ2期が手術の適応となり、ステージ3期と4期ではまず抗癌剤治療単独、または免疫療法を併用して、ステージ2期程度まで小さくしてから手術することでよい経過を望むことが出来ます。

肺がん手術

ステージ1期、2期の治療

ステージ1A期

癌が3cm以下で転移なし

ステージ1B期

癌が5cm以下で転移なし

ステージ2A期①

癌が7cm以下で転移なし

ステージ2A1期②

癌が5cm以下でリンパ転移のみ

ステージ2B期

癌が7cm以下で近いリンパ転移のみ、または同葉内転移、胸壁・心膜浸潤などの1つの悪化条件

ステージ1期と2期は、手術でほぼ切除できます。術後に抗がん剤治療することが意味がない場合も多いくらいです。また、免疫が良ければ再発しない可能性が高い状態です。

ステージ3期・4期の治療

ステージ3期・ステージ4期の肺腺がん、肺がんは致命的な合併症が起きる可能性があり、ステージ3A期の一部では可能であれば手術をお勧めします。

治療は抗癌剤治療単独、または免疫療法を併用します。抗がん剤治療の流れは、最初積極的に化学療法にて癌を縮小し良い状態を維持、抗がん剤が効かなくなったら、痛みなどの症状緩和目的に変更して緩和的化学療法を行います。

まず、積極的にがんを縮小させる積極的化学療法を3か月から6か月行います。副作用の強いプラチナ剤(シスプラチン、カルボプラチン)を使いますので、体が耐えられるか、効いているか、を判断して治療継続を医師が判断します。

1次治療の2種類目には、様々な種類がありますが、肺腺がんでは副作用が少なく耐性ができにくいアリムタ(ペメトレックス)を推奨しています。選択した治療が効かないか、または、副作用が強くなったら、2次治療で現状維持目的に切り替えます。

維持治療は、アリムタなどが1剤のため副作用が少なく長期的に続けられます。しかし、1種類では効果が弱く、時間とともに癌が再増殖します。この段階で抗がん剤治療を辞めるか、痛みなど症状緩和目的や少しでも延命の目的に緩和的化学療法を行うかを判断します。

副作用の少ない経口ユーエフティー、タキサン系のパクリタキセルやドセタキセル、ナベルビンなど、特に推奨される薬はないので、本人の体力を見ながら医師が判断する場合が多いのが現状です。

肺がんでは、胃癌や大腸とは違ってステージ1期や2期であっても、手術が成功しても、それだけでは大丈夫だと断定できません。そのため、抗がん剤治療が行われます。抗癌剤に樹状細胞療法などをプラスして効果を上げることができます。

肺がん(腺がん)の手術法

手術の基本は、葉切除です。隣の葉まで浸潤している場合は2葉切除します。

また、ステージ1A期で高齢や呼吸機能が低いなど何らかのの負担を軽減する必要があれば、喫状切除(縮小手術)が行われます。再発率が3倍との報告もありますが、今後はその確率が減っていく傾向にあります。

傷の小さい鏡視下補助手術は、ステージ1期で身体の負担が少なくお勧めです。ステージ2期ではリンパ節の切除をしっかりするため、一般的な外科手術がよいとされていますが、施設によっては一部の2期は鏡視下でも対応できます。

肺癌ステージ2

術後補助療法

ステージ1A期・ステージ1B期

手術だけとUFT内服群の効果は多少UFT内服の方が良いとする論文がありますが、当院ではこの差は患者様利益とは考えず、樹状細胞療法などの免疫療法を選択することで副作用なく免疫を監視することにより、より良い効果が期待できると考えています。

ステージ1B期は、副作用の少ない経口抗癌剤のUFTの内服が推奨されています。さらにプラスする治療として術後に樹状細胞療法を、そのさらに後に定期的に活性化リンパ球療法をお薦めしています。

ステージ1A期
肺癌腺癌ステージ1補助
  • 安全対策は樹状細胞がんワクチン
  • 推奨術後補助療法一般的に治療なしでもよい
  • 樹状細胞がんワクチンでさらに高い生存率
ステージ1B期
肺癌腺癌ステージ1補助
  • 経口抗がん剤UFTを半年、またはUFTと樹状細胞がんワクチンの併用でさらに高い生存率
  • 安全対策はUFT+樹状細胞がんワクチン・一般的にUTFが良い。

ステージ2A期・ステージ2B期

当院ではステージ1B期で推奨しているUFT(ユーエフティー)を2A期・2B期の患者さんにも勧めています。

現在、臨床試験でも検証しています。UFTは、副作用が少なく効果も高くないため、免疫療法をプラスする必要があります。また、UFTを改良した胃癌の再発予防で使用するTS-1が期待されています。

ステージ2A期
肺癌腺癌ステージ1補助
  • 推奨術後補助療法は、抗がん剤UFTを半年間使用
  • UFTは副作用が少ないので、多くの場合でおすすめすることができます。
ステージ2B期
肺癌腺癌ステージ1補助
  • UFTと樹状細胞がんワクチンの併用でさらに効果をプラスして補助治療

分子標的薬

ステージ3期、ステージ4期

分子標的薬という新しい薬が登場しています。

画期的な効果があり、本来では最初に書くべきなのですが、対象となる患者さんが少ないために後ろに回しました。分子標的薬は、ピンポイントで効果がある薬です。

がん遺伝子のEGFR(上皮成長因子受容体)とALK(アルク)融合遺伝子をターゲットとしています。

EGFR遺伝子は、肺腺癌の患者さんで約30%、さらに非喫煙者で、40歳から50歳代の女性となると全体の5%ぐらいがイレッサ(ゲフィチニブ)の対象者がいません。

また、ALK遺伝子は、全体の3~5%しか発現しておらず、併せても10人に1人程度の対象です。

しかし、ALK遺伝子が発現していると余命は2~3年あるため、少ない確率でも確認する必要はあります。

肺腺がんステージ3期・4期の分子標的薬治療
扁平上皮02

免疫療法

ステージ3期・ステージ4期の一次治療

ALK(アルク)融合遺伝子がマイナスの95%以上の肺腺癌の患者さんの1次治療で一番良いとされているカルボプラチンとアリムタの奏効率は、35.8%です。

これは64.2%の患者さんが一次治療に失敗することを意味し、ここでの失敗を減らすために免疫療法が用いられます。

肺内転移など血管の多い部分の癌には、NK9療法(新NK細胞療法)やラックセル(活性化リンパ球療法)、そしてリンパ節転移・骨転移が進行している場合は樹状細胞がんワクチンをお勧めします。

ステージ3期・ステージ4期の二次治療

一次治療でうまく行っても行かなくても、肺がんの二次治療の奏効率は、アリムタの単独で9.1%と厳しい数値です。

やはり免疫療法で効果をプラスする必要があります。

部位別に免疫療法を選び、リンパ球数が少なくなった患者さんには活性化リンパ球療法が必要になります。

転移の部位別には、リンパ節・骨が樹状細胞がんワクチン、肺内転移は、最初はNK9療法(新NK細胞療法)、その後、ラックセル(活性化リンパ球療法)を継続する方法と、樹状細胞がんワクチンに移行する方法があります。

肺腺癌ステージ3期・4期に免疫療法が必要な理由
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