前立腺がんの治療
前立腺がんの病期 (ステージ)
病期A:直腸診で癌を触知しない、偶然発見された癌
病期B:直腸診で触知でき、前立腺内に留まる癌
病期C:前立腺の被膜を超え脂肪や精嚢、膀胱に浸潤している癌
病期D:リンパ節・骨・肺などに転移している癌
前立腺がんの治療
手術(根治的前立腺全摘除術)
前立腺と精嚢を切除し、膀胱と尿道を吻合する手術です。
鏡視下手術・ロボット手術があり、病期Aと病期Bが対象となります。病期Cの場合、広範囲切除のため開腹手術、または一部で鏡視下手術が行われています。
*浸潤や転移が疑われる場合は、開腹手術をお薦めします。ロボット手術が主流となってきていますので腹腔鏡のメリットが少なくなっていますが、病院により手術件数が多い方を選択するのが良いと思います。
しかし、手術より放射線治療で切らずに出来たらという患者が多く、放射線治療(IMRT・重粒子線治療など)が増えています。
放射線療法
強度変調照射線治療(IMRT)を行なっています。
がんの状態に応じて36回または39回、約7~8週間の通院治療をおこなっています。適応は主にステージA~Cとなります。
ホルモン治療
初回ホルモン治療にはLHRHアゴニスト(注射)、手術により両側の睾丸(精巣)を摘除する外科的去勢、抗男性ホルモン(アンチアンドロゲン)剤の内服があります。
これらを併用する場合もあります。全身療法ですので、転移のあるステージDが適応となります。
局所進行がん(ステージC)には放射線治療と9ヶ月間のホルモン治療による併用治療をしばしば行ないます。
欧米のガイドラインでは2~3年の長期ホルモン治療が奨められています。
経過観察
なんら治療せずに厳重に経過観察のみを行なう方法です。
治療法にはそれぞれ副作用が必ず伴いますので、現在の生活の質を大切にしたい場合・がんが微少で病理学的悪性度が低い場合・症状のない超高齢者の場合などが適応となります。
多くは3~6ヶ月毎のPSA採血による経過観察が中心です。病状の進行が心配される場合にはもちろん治療を開始します
化学療法
内分泌(ホルモン)療法の効果を認めなくなった前立腺がんは去勢(内分泌療法)抵抗性前立腺がん(castration-resistant prostate cancer: CRPC)と呼ばれて、従来から抗がん剤も無効とされ、治療に難渋してきました。
2004年に米国で行われた2つの大規模な臨床試験、SWOG9916とTAX327試験の結果、ドセタキセル (タキソテール(R):サノフィ・アベンティス) の治療効果が認められました。
日本でも2008年に健康保険適用となって、CRPCに対する化学療法の第一選択薬として積極的に使用されています。
この他、進行期前立腺がん患者さんでは骨転移を認めることが多いのですが、骨転移の進行を抑制するために、また、骨粗しょう症による骨折防止のために3-4週毎のビスフォスフォネート製剤、ゾレドロン酸 (ゾメタ(R):ノバルティスファーマ) の投与が推奨されています。
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