扁平上皮がん・肺扁平上皮がん

肺扁平上皮がん、扁平上皮がんの特徴と治療法

肺がんの30%がこの扁平上皮癌がんです。喫煙者に多く、男性に多いのも特徴です。扁平上皮細胞は、皮膚・口腔・咽頭・食道など、食べ物や乾燥した空気などが通るためにストレスを受ける場所の細胞です。さらに喫煙によって大きなダメージを受けます。気管・気管支・細気管支など空気の通る気管を扁平上皮細胞と言い、そこにできるがんが扁平上皮癌です。

肺扁平上皮がんの特徴は、肺門(気管の近く)にできるため、縦隔浸潤やリンパ節転移する場合が多く、ステージ3期やステージ4期で発見されることが多いです。早く発見されたステージ1期・ステージ2期・ステージ3A期までは手術適応があるかを検討し、手術適応がない場合は補助治療として抗がん剤や免疫療法を開始します。

血流に酸素があり、放射線での治療が可能ですが、肺門部に発生することが多く、手術が困難な場合も多いです。

発生割合:30%
発生部位:肺門部。X線で発見しやすい。

進行の速度:普通
悪性度:普通

喫煙の関連:高い

扁平上皮癌は、放射線治療が効きやすいのが特徴ですが、正常な肺は放射線治療の副作用が強く、肋骨に囲まれているため、放射線が当てにくいなどといった治療効果を下げる原因にもなります。高精度放射線治療ではピンポイントで治療してうまくいく場合もあります。

現在、転移の治療では多く施行されています。

ステージ3B期とステージ4期で見つかった肺扁平上皮がんは、まず2剤による抗がん剤治療を開始し、免疫療法を併用して効果をプラス、その後1剤による抗がん剤治療に移行します。1剤の抗がん剤ではがんを止めることは難しいので、やはり免疫療法による効果をプラスする必要があります。

肺扁平上皮癌は、肺門部に多く、気管・縦隔リンパ節・大血管などがあるために手術で切除するのが難しく、小さな癌でも、手術できない場合が多いです。肺門部にあれば、手術が可能です。

肺扁平上皮癌の特徴は放射線治療は同じ部位に一生に一回だけで、治療のタイミングが難しかったり、正常な肺は放射線治療の副作用が強く、肋骨に囲まれているため放射線が当たりにくいなど、治療効果を下げる原因にもなります。副作用も強いので、最初の治療では行わないことも多いです。

肺扁平上皮がんのステージ別推奨治療法

手術できるステージ1A期・ステージ1B期・ステージ2A期・ステージ2B期・ステージ3A期は、手術をしてその後再発しないように補助治療を行います。手術できないステージ3B期とステージ4期は、抗がん剤治療をメインに免疫療法の併用を検討します。

肺扁平上皮がんのステージ1期とステージ2期とステージ3A期の手術

肺がんで最も有効な治療は手術です。手術で切除する範囲が小さければ小さいほど、体の負担は少ないため葉切除をお勧めします。隣の葉まで浸潤している場合は、2葉切除します。また、ステージ1A期で高齢や呼吸機能が低いなど何らかの負担を軽減する必要があれば、喫状切除(縮小手術)が行われます。

しかし、再発率が3倍との報告もありますが、今後はその確率が減っていく傾向にあります。傷の小さい鏡視下補助手術は、ステージ1期で身体の負担が少なくお勧めです。ステージ2期ではリンパ節をしっかり切除するため、一般的な外科手術が良いとされていますが、施設によっては一部の2期は鏡視下で対応することが可能です。

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扁平上皮がん、肺扁平上皮がんのステージ1A期・ステージ1B期・ステージ2A期の術後補助療法

手術だけとUFT内服群の効果は多少UFT内服の方が良いとする論文がありますが、当院ではこの差は患者様利益とは考えず、DC療法などの免疫療法を選択することで副作用なく免疫を監視することにより、より良い効果が期待できると考えています。

ステージ1B期は、副作用の少ない経口抗癌剤のUFTの内服が推奨されています。さらにプラスする治療として術後にDC療法を、そのさらに後に定期的に活性化リンパ球をお薦めしています。

肺がんはステージ1期でも再発する可能性は十分あり免疫療法をプラスする必要があります。DCワクチンは、1か月の治療で1年程度効果持続するため、手術後の補助療法に最適です。

ステージ1A期

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経過観察または再発予防でDCワクチン

ステージ1B期・2A期

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抗がん剤、再発予防でDCワクチン

ステージ2B期・3A期

扁平上皮04

抗がん剤、再発予防でDCワクチン

扁平上皮がん、肺扁平上皮がんのステージ3B期、ステージ4期の治療と免疫療法が必要な理由

ステージ3B期、ステージ4期の肺扁平上皮癌(肺癌扁平上皮癌)は、2剤による抗癌剤治療単独、または免疫療法を併用します。

ステージ3B期

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肺腺癌ステージ3・ステージ4の抗がん剤治療

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  • 一次治療は通常2種類の抗がん剤で行い、がんの進行を抑えます。積極的に癌を縮小させます。
  • 二次治療からは現状維持を行います。一次治療で縮小させた状態を、アリムタ単剤等で維持します。
  • 三次治療からは、維持できる可能性が低くく、多くは悪化します。抗がん剤に耐性ができてしまうため、抗がん剤を使用しても延命効果はありませんが、痛みなどの症状緩和目的または、何か治療をしていないと不安なときのための治療です。

まず、積極的にがんを縮小させる積極的化学療法を3カ月行います。

副作用の強いプラチナ剤(シスプラチン、カルボプラチン)を使いますので、体が耐えられるか、効いているか、を判断して治療継続を医師が判断します。

癌の場所が肺内転移であればNK療法や活性化リンパ球、リンパ節転移・骨転移であれは放射線治療とDCワクチンが効果あり、脳転移は放射線治療、癌性胸水はDCワクチンが効果あり、マインの抗がん剤だけでは抑えられないため、転移により治療をプラスする必要があります。

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参考文献

  1. Asamura H, Goya T, Koshiishi Y, et al. A Japanese Lung Cancer Registry study: prognosis of 13,010 resected lung cancers. J Thorac Oncol. 2008; 3(1): 46-52. (IV)
  2. Goya T, Asamura H, Yoshimura H, et al. Prognosis of 6644 resected non-small cell lung cancers in Japan: A Japanese lung cancer registry study. Lung Cancer. 2005; 50(2): 227-34. (IV)
  3. Sawabata N, Miyaoka E, Asamura H, et al. Japanese lung cancer registry study of 11,663 surgical cases in 2004: demographic and prognosis changes over decade. J Thorac Oncol. 2011; 6(7): 1229-35. (IV)
  4. 2014年肺癌ガイドライン(日本肺癌学会)
免疫療法以外の治療に関しては標準的な治療の場合、保険診療となります。当院で実施はできません。

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